古事記その1 国生み編 で のぼる階段



 奈良や九州に行く機会※1 を再び得た父は、夢だった神社や遺跡巡りをすることを計画します。
 箸墓古墳、天岩戸神社など、ある程度の歳を重ねいろいろ知った上でその魅力が理解できる場所ですが、子供を連れて行くのにふさわしい場所とは言い難いのも事実。ならば、興味を持たせたらいい!ということで、箸墓古墳はヒミコ様、天の岩戸は天の鈿女様のエピソード※2 で興味を持たせることに成功しました。
 さらに追い打ちをかけるべく、神様の物語を動画化して親近感を覚えてもらおうと頑張って作ってみました。

※1:2023年の恐竜絵画コンクール受賞(姉:金賞/弟:銀賞)で天草の表彰式参加がきまったため
※2:身近なものからエピソードでつなげ子供に興味を持たせる方法

 

古事記その1 国生み・伊耶那美の悲劇

 ただモヤモヤしているところに、天之御中主神(アメノミナカヌシ)が降り立つところからイザナミがヒノカグツチ(火之迦具土神)を産み落とすまでをプログラムで動画化しました。
 古事記を知ることで神社巡りの楽しさが倍増します。子供でも楽しめる分かりやすい物語です、難しいのは登場する神々の名前だけですが、聞き慣れればそれも問題なくなってきます。

Scratch(スクラッチ)で作った古事記の動画です。キャラクターや背景は古事記を元にScratchで作ったオリジナルです。

 古事記は、読む本によって書かれていることが若干違っていたり省かれていたりすることがあります。図書館でパラパラと流し読みをしてみると違いをチラホラ見かけますね。

 

天地開闢 高天原から造化三神~神世七代  伊耶那岐・伊耶那美の登場

 始まりのパートです。実はこここそが最も謎で重要なところなのですが、天之御中主神はあっさり登場してすぐ次に進みます。

how to play

世界の始まり 造化三神~神世七代


天之御中主神【造化三神】
➡高御産巣日神・神産巣日神【造化三神】
➡【別天神】宇摩志阿斯訶備比古遅・天之常立神
➡【神世七代】国之常立神・豊雲野神
 他5組の男女神、そのうち最後の一組が
 伊耶那岐神・伊耶那美神(イザナギ・イザナミ)

 最初の神である天之御中主神(アメノミナカヌシ)が登場します。この神は宇宙の中心であり、登場してすぐ高御産巣日神(タカミムスヒ)と神産巣日神(カムムスヒ)に成ります。以降出てきません。なお、この三柱の神を造化三神と呼びます。

 ちなみに古事記では「成った・成ります」という表現が多いですが、これは『役割を担う存在を新たに生み出す・現れる』というニュアンスの言葉です。将棋で「歩」が「と金」に成るように変わるのとは違うのでご注意。

 タカミムスヒとカムムスヒの二柱の神は物を産む神様です。別天神の宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂ)・天之常立神(アメノトコタチ)に続き、神世七代を生み出します。

 神世七代は独り神の国之常立神(クニノトコタチ)・豊雲野神(トヨクモノ)、男女神の宇比地邇神(ウヒジニ)と須比智邇神(スヒジニ)、角杙神(ツノグイ)と活杙神(イクグイ)、意富斗能地神(オオトノヂ)と大斗乃弁神(オオトノベ)、淤母陀琉神(オモダル)と阿夜訶志古泥神(アヤカシコネ)、最後の5組目が伊耶那岐神(イザナギ)と伊耶那美神(イザナミ)です。

 土や砂の神、家屋の神、活力の神など、先に成った神々はイザナギとイザナミに国生み神生みを任せることにします。この先の主役はこの二人となります。この二人が出てくる前にも、割とたくさんの神様がいるんだよと言うことですね。材料、調理器具、レシピを用意したので、あとはコックが料理する、みたいなイメージで理解すれば良いのかと思います。

造化三神
 

天の浮橋、天沼矛  コオロコロオとかき混ぜる

 イザナギとイザナミが天沼矛を授かり、オノゴロ島ができるパートです。

天の浮橋で天沼矛 雫からオノゴロ島


大地はまだふわふわしている
大地を固めて国を作りなさい
天沼矛を授かり
天の浮橋からコオロコオロ
雫が落ちて島となる

 イザナギとイザナミは高天原の神々より天沼矛を授かります。高天原と地上の間を結ぶ天の浮橋に着くと、天沼矛を海に突き立てコオロコオロとかき鳴らします。すると矛の先から雫がこぼれ、落ちて固まると小さな島ができました。

 小さな島はオノゴロ島と言います。淡路島の南に浮かぶ沼島や、淡路島と和歌山の海峡にある沖ノ島・地の島・虎島・神島の無人島群である友ヶ島など、近畿地方・大阪湾周辺に伝承が残っているようです。

 オノゴロ島に降り立ったイザナギとイザナミは、天の御柱を立て、八尋殿という立派な宮殿を建てます。僕の体は出っ張っている、私の体はくぼんでいる。国生みの儀式が始まりました。

水槽
 

天の御柱  伊耶那岐神と伊耶那美神の共同作業

 天の御柱で国生みの儀式を行うも最初は失敗してヒルコが生まれてしまい、やりなおすパートです。

柱をぐるり 出会った所で互いを褒め合う


 国生みの儀式
男は左廻り、女は右廻り
出会った所で互いを褒め合う
ヒルコが生まれる
太占(ふとまに)で原因究明
男から先に声をかける

 国生みの儀式を始める二人。イザナギは左廻り、イザナミは右廻りで天の御柱をぐるりと回ります。すると二人は出会います。「なんて素敵な殿方」、「なんてすてきな乙女」とお互いを褒め合うと、ヒルコが生まれてきました。

 「我が生める子良くあらず」ということなので、「葦の舟に乗せて流そう」ということにした二人。何がいけなかったのか高天原の神々に相談します。すると、太占(ふとまに)によりシカの肩の骨を焼いて入ったヒビを見て占ったところ、女から先に声をかけたのが良くなかったようです。

 もう一度やりなおして天の御柱をぐるりと回り、今度はイザナギから声をかけました。神生みは成功し、イザナミはたくさんの島を生み出すことになります。

Goshoura-MAP
 

国生み、神生み、八百万!  たくさんの島とワダツミ・ヤマヅミ

 神生みに成功したイザナギは、日本列島とそこに住まう神々を生み出すパートです。

国生み・神生み 淡路島から八百万まで


国生みに成功し、最初に淡路島、次に四国
隠岐諸島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州
これら八つの島『大八島国』、日本列島誕生!
島々に住む神も生み出す。あらゆる物の神たち
水:大綿津見神、地:大山津見神、その他八百万

 天の御柱で男から声をかけ国生みの儀式を成功させたイザナミはたくさんの島を生み出しました。まず初めに淡路島、名を淡道之穂之狭別島と言います。次に四国、伊予之二名島といい、顔が4つあります。4つの顔にそれぞれ名前があり、飯依比古(香川)・大宜都比売(徳島)・愛媛(愛媛)・建依別(高知)といいます。愛媛の名の由来は古事記なんですね。

 続いて、隠岐諸島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州が誕生します。これら八つの島を『大八島国』といい、日本列島が誕生しました。これらの島も名を持ち、それぞれ隠伎之三子島(隠岐諸島:島根)、筑紫島(九州)、伊岐島(壱岐島:長崎)、津島(津島:長崎)、佐渡島(佐渡島:新潟)、大倭豊秋津島(本州)と言います。場所が本当にそこで正しいのかは諸説あります。

 さらにイザナギとイザナミは生まれた島々に住むべき神々を生み出しました。石、土、家などの男神、大綿津見神などの水の神々、大山津見神などの大地の神々。さらに生まれた神からも自然や建造物などあらゆるものの神が生まれます、その数まさに八百万(ヤオヨロズ)。

宝石一覧
 

伊耶那美神の悲劇  火之迦具土神~武御雷

 八百万の神々を産んだイザナミ。最後に生んだホノカグツチにより悲劇が起こるパートです。

おのれ火之迦具土神! 閃く天之尾羽張


八百万の神々を生み出したイザナミ
最後に生まれた火の神、火之迦具土神
炎に焼かれ苦しみながらも神々が誕生
火之迦具土神の首を一刀両断するイザナギ
滴る血が岩に着き、武御雷が誕生する

 八百万の神々を生み出したイザナミですが、最後に火の神である火之迦具土神を生み出します。その強すぎる力によりイザナミは火傷を負ってしまい、苦しみの中で吐瀉物や汚物などからも粘土や水・鉱物などの神々が生まれます。そしてついに力尽きてしまいました。

 悲しみに暮れるイザナギは霊剣『天之尾羽張』を手にすると一閃、火之迦具土神の首は足元に。滴る血からも岩・火・水・剣の神が生まれました。これは岩+火+水➡鉄剣を示唆するエピソードかと思われます。さらに天之尾羽張の柄から落ちた血が岩に着くと、剣の神である武御雷神が誕生します。武御雷も重要な神ですね。

 イザナミを失ったイザナギは、イザナミを取り戻すべく黄泉の国へ行くことを決意します。そこで再会することができた二人ですが、じつはとんでもない事実が隠されていました。試されるイザナギ、二人の運命は?

宝石一覧
 

続きは?  黄泉の国編へ

 と、動画はここまでです。古事記のまだ序盤ですが、それなりのボリュームと内容の重さがありましたね。

 日本神話と言えばアマテラスとスサノオの姉弟の話だったり、天の岩戸伝説だったりが有名です。アマテラスとスサノオは黄泉の国から戻ったイザナギが禊をすることで生まれるので、次回作で登場しますね、きっと。その二人の姉弟喧嘩の末に起こしたのが天の岩戸引きこもり事件。いつの時代も姉弟はケンカするものですねぇ。

調査

 というわけで次回作をお楽しみに。スサノオが振るっているのは天之羽々斬という剣で、八岐大蛇を退治したときに使った剣です。最後に折れてしまいますが、その剣を折ったのが八岐大蛇の尻尾にあった伝説の天叢雲の剣です、後の草薙の剣、三種の神器の一つですね。
 この先も興味深いエピソードが沢山あります。頑張って作らなくちゃ!

 



 一般社団法人ピンタニーニャ・プログラミング学習協会


最後まで読んでいただきありがとうございます